インド音楽 鑑賞のために

          Sangeet サンギ一夕 * インド音楽
西洋音楽の場合には、作曲家の指示に沿って演奏出来るように心掛けるのに対して、印度音楽の
演奏者は毎回新たな一致した演奏が出来るように練習を積む。その演奏に使うラーガの各特徴を
忠実に表現することは、即興を中心としての展開、即ち「作曲しながら演奏する」ということで
ある。そのラーガとターラが分かる聴音にとっては、次々と出てくる音と旋律やリズムに対して
親しみと驚きと両方同時に楽しめる。南インドのカルナー夕カ古典音楽と北印度のヒンドゥスタ
ーニ古典音楽とこの点では共通である。尚、インド音楽は、南アジア他国や中近東の音楽と共通
した要素は多くある。

         raga ラーガ * インド音楽の旋律法
ラーガとは、「彩る」つまり「音によって、人々の心に様々な感情の彩りを与える」というもので
あり、特有の音の組み合わせによって独特な性格を構成する規則を持ち、奏者と聴者の心を一定
の雰囲気に抱き込んで楽しませる独特な旋律を指す。インド音楽に於ける最も重要な概念として、
その音楽の旋律の源泉であり、即興演奏の指導原理である。ラーガは先ず音階形別に分類される。
即ち、1オクターブには7音、6音か5音含みの音階を用いるラーガと、更に、「混合した」音階
(例えば、上行音階列に 5音、下行に 6音を用いる音階)のラーガもある。そして、一定した音
階の中に、音の順列や主な音域、どの音が主要となる、どういう装飾(揺れ、滑りなど)が使わ
れるなどの特徴によって、そのラーガの個性がはっきりと現われる。ラーガの数は何千に及び、
そして−つのラーガに基付いて作られ得る曲の数は、それこそ無限にある。また、−定のラーガ
      は朝、夕方、深夜などの時ないしはある季節に相応しいとされる。


          tala ターラ * インド音楽のリズム法
自由リズムで奏されるアーラーパは別として、ラーガの演奏はターラ(柏を配列したリズム周期
のこと)に合わせて行われる。太鼓の打ち手が出すリズム周期は、小さな単位の拍節を規則的に
配列している(例に、4+4+4+4の16拍子、2+3+2+3の10拍子)。こうした特定の打ち方を順番
に並べて、繰り返すリズム周期は日本の能楽などにも使われるものである。ヒンドゥスターニ音
楽によく使われるターラは、6拍子、7拍子、12拍子、14拍子、16拍子などのものがある。尚、
それぞれのターラを声か楽器によるラーガの演奏やカッタクなどの踊りの伴奏に使われ、または
太鼓独奏で演奏される。いずれにせよ、太鼓奏者の演奏には即興のものが多く含まれる。


                      l           

日印音楽交流会

1989年に東京に非営利民間機関として創立された日印音楽交流会は両国の「音文化」の間の交流を
目的とし、両国の著名な音楽家や教育家の諮問門委員と活躍中の演奏家・学者・学生で構成されている。
活動内容は、演奏会、音楽の指導や資料等の制作、国内外の共同演奏・研修や研究の企画等です。

   日印音楽交流会(関東事務局) 〒370−2604群馬県甘楽郡下仁田町吉崎130
tel/fax:0274−82−3160 ijmusath@po.wind.ne.jp
http://shakuhachi.com/G-IJMEA.html



                出演者の紹介


T.M.Hoffman ホッフマン(vocal&shakuhachi 声楽と天竺尺八)
米国出身。ピアノを4歳より、尺八を故人間国宝山口五郎、インド古典声楽をガネシュ・プラサ
ード・ミシュラの許で手ほどきを受け、北インド古典声楽と笛の師範 日本、南アジア諸国、米
国、ヨーロッパなどで演奏や音楽教育活動。カリフォルニア州立大学、国際基督大学、バートカ
ーンデ音楽大学(インド)、ハワイ大学大学院・米国国立東西研究所修士、現在、高崎健康福祉大
学教授(語学)及び武蔵野音楽大学(音楽学)講師を勤める。「尺八と筝のためのインド音楽」な
どの音楽資料著作や編集、数多くの訳書、CDの監修、日印音楽交流会代表として国内外の音楽・
教育企画を実施。日印音楽CD「INTEGRALASIA」(2004年)。
Vinod Kumar Mishra ヴィノード・クマール・ミシュラー(sarangi サーランギー)
ベナレスに生まれ、サーランギーの大家である父のバグワーンダース・ミシュラに幼少の頃から
手ほどきを受けた。数多くの演奏会や放送で、名演奏家の伴奏を担当している。現在、バートカ
ンデー音大でサーランギー伴奏を担当する。日本ビクターCD「北インド声楽の神髄」に出演。
Girdhar Prasad Mishra ギリダール・プラサード・ミシュラー(tabla タブラーと声楽)
古典声楽の大家ガネーシュ・プラサード・ミシュラの次男としてベナレスに生まれ、4歳よりタ
ブラーを伯父ヤムナ・プラサード・ミシュラに師事し、古典・軽古典声楽及び宗教音楽を父親に師
事した。幼少の頃より舞台に立ち、インド内外の多くの演奏会、放送で演奏してきた。ラクナウ
大学卒業。現在、バートカンデー音大でタブラー伴奏を担当する。日本ビクターCD「北インド声
楽の神髄」に出演。
Sakiko Aruga 有賀佐紀子(tambura タンプーラ)
7歳よりバレーとクラシック・ギターの手ほどきを受け、山田流筝を無形文化財継承者山田広代
に師事、ホッフマン氏及びインドのミシュラ師にインド音楽を習い、インド古典音楽の演奏に欠
かせない弦楽器伴奏を担当する。日印音楽交流会の秘書を勤める。日本、インドと米国で演奏、
1992年より日印音楽の演奏会シリーズ「幻楽夢奏」に共演。


                 楽器の紹介



sarangi サーランギー ★ 「サーランギー」は「百色」との意で、歌の伴奏、踊りや太鼓ソロの伴
奏に、または独奏楽器として用いられる音色豊かな弓奏弦楽器。一本造りの重い胴体とフレット
の幅の広い棹に、ガット線の主奏弦4本と金属の共鳴弦40本ほどか張られている。左手の爪の
甲で主奏弦を横から押さえて音高を取る。歌い手の即興による旋律にぴったり添うように演奏さ
れ、歌い声に豊かな奥深い陰影を与える。
tabla タブラー ★ 二個一組の太鼓で、右のダーヤーン、左の低音バーヤーンが、それぞれの音色
を組み合わせることにより20種類もの音色が出せる。北インド及び南アジア全域の音楽の伴奏楽
器であり、更に独奏でもインド内外で人気物である。タブラーは南アジアの締め太鼓の一つであ
る。小鼓など、東アジアの締め太鼓はインドに由来する。
tambura ターンプーラ ★ 木で作られているリュート。長いさおの下に共鳴器としてひようたん
の胴が付けられている。フレットはなく、4本の開放弦を中指と人指し指で弾く弦楽器。倍音豊
かな音背景を供える、声楽にも器楽にも欠かせぬ楽器である。
shakuhachi 天竺尺八 ★ 日本の縦笛で、指孔は表4、裏1計5孔。標準管は一尺八寸で、本曲、
筝曲、民謡などに使われる。指孔を上から滑らかに閉じる手法などを使うと、ラーガの表現にも
適している。尺八のような縦笛が古代インドの洞窟絵に描かれている。

日印音楽交流会

1989年に東京に非営利民間機関として創立された日印音楽交流会は両国の「音文化」の間の交流を
目的とし、両国の著名な音楽家や教育家の諮問門委員と活躍中の演奏家・学者・学生で構成されている。
活動内容は、演奏会、音楽の指導や資料等の制作、国内外の共同演奏・研修や研究の企画等です。

   日印音楽交流会(関東事務局) 〒370−2604群馬県甘楽郡下仁田町吉崎130
tel/fax:0274−82−3160 ijmusath@po.wind.ne.jp
http://shakuhachi.com/G-IJMEA.html
当日配布された資料です。
戻る     素晴らしい町二宮